2005年,サリー大学のベリンダ・ボードとカタリナ・フリッツォンは,企業のリーダーには厳密にどんな資質が必要かを突き止めるべく調査を実施した。人格のどんな側面が,飛行機に搭乗するときにファーストクラスのほうへ向かう人とエコノミークラスのほうへ向かう人を分けるのか。
ボードとフリッツォンは3つのグループ——企業経営者,精神疾患の患者,入院中の犯罪者(サイコパスとそれ以外の精神疾患の患者の両方)——を対象に,心理的プロファイリングテストの結果を比較した。
分析の結果,いくつかのサイコパス特性——表面的な魅力,自己中心性,説得力,共感の欠如,独立心,一点集中力——はじつは「精神障害のある」犯罪者よりも企業のリーダーのほうによく見られ,両者の主な違いは「反社会的」な側面にあった。犯罪者のほうが違法行為,身体的攻撃,衝動性の「調整つまみ」が高い位置に設定されていたのだ。
ケヴィン・ダットン 小林由香利(訳) (2013). サイコパス 秘められた能力 NHK出版 pp.47
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