その証拠に,ソールズマンとペイジは,とくに精神的苦痛を特徴とする人格障害(妄想性,統合失調症性,境界性,回避性,依存性)は神経症傾向と非常に関連があり,対人関係での問題を特徴とするもの(妄想性,統合失調症性,反社会性,境界性,自己愛性)は,当然ながら,協調性に影響することに気づいた。それに比べれば結びつきは弱いものの,外向性と誠実性も関連していた。社交家と世捨て人の分水嶺とでもいうべきものをはさんで,一方の側にある障害(演技性と自己愛性)は外向性の得点が高く,もう一方の側(統合失調症質と統合失調型と回避性)は外向性の得点が低かった。同様に,暴走族と支配魔の分水嶺をはさんで,一方の側(反社会性と境界性)と反対側(強迫性)でも,誠実性で得点の二極化が見られた。
これはかなり説得力がある。人格という太陽系を構成しているのが万能のビッグファイブだとしたら,人格障害というはみ出し者の星座も天空の一角にあるはずだ。それにしても,サイコパスはいったいその天空のどこに位置するのだろうか。
ケヴィン・ダットン 小林由香利(訳) (2013). サイコパス 秘められた能力 NHK出版 pp.77-78
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