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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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うつ病と時間のゆがみ

うつ病の人は,たとえ自殺を考えていなくても,時間のゆがみを経験している可能性がある。うつ病の症状が出ているときは過去と現在だけが存在し,未来(特に希望のある未来)を想像できなくなる。イギリスの精神医学者マシュー・ブルームは,このような症状を持つ患者を多く診てきた。そして実験によって,うつ病の患者はそうでない人に比べ,平均して2倍も長く時間を評価することがわかった。言い換えると,彼らにとって時間は半分のスピードで流れているということだ。私はそれを知って,うつ病は時間知覚の障害と考えられるケースもあるのではないかと思い始めた。あるいは時間の流れが遅くなるのは,うつ病の結果かもしれない。それで時間の流れが遅い状態が維持されやすくなり,そこから逃げ出すことがさらに難しくなる。マシュー・ブルームは,睡眠不足のときやライトボックスを使用したとき,体内時計が混乱して気分が高揚することを指摘している。うつ病をわずらったとき,現在と未来は“互いに苦しみで結びつく”。その影響がはっきりしているため,精神医学の哲学的研究者のマーティン・ワイリーは診断の助けとして,患者に診療時間がどのくらいだったか評価させることを提案している。私は単に1分間を頭の中で数えさせるだけでも診断がつくのではないかと思う。もし40秒が1分に感じるなら,その人の時間は引き伸ばされている。時間の流れがゆっくりであるほど,病状は深刻と考えられる。

クラウディア・ハモンド 度会圭子(訳) (2014). 脳の中の時間旅行:なぜ時間はワープするのか インターシフト pp.35-36
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