ここで私が7つの音を順番に出していくと想像してみてほしい。7つのうち3つは同じだが,真ん中の音だけは違う。たとえば「ド,ド,ド,ソ,ド,ド,ド」というように。音の長さがすべて同じでも,あなたはきっと「ソ」だけ長いように感じるだろう。同じように,画面に写真を次々と映し出していく。「キリン,キリン,キリン,マンゴー,キリン,キリン,キリン」と,それぞれまったく同じ長さで出したとしても,マンゴーのほうが長く映っていたと思うはずだ。マンゴーを見ている間,時間の流れが遅くなるような気がするのだ。これは変わり者(オッドボール)効果として知られていて,私たちが何度も繰り返す,時間計測に関する錯誤である。テスト自体は単純だが,頭の中の時計がどのように働いているかヒントを与えてくれる。
クラウディア・ハモンド 度会圭子(訳) (2014). 脳の中の時間旅行:なぜ時間はワープするのか インターシフト pp.65
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