最近の2ヵ月を思い出して,夜に会った友人の数を数えなさい。
あなたはおそらく,数ヵ月前に会った友人も最近会ったような気がして,数に含めてしまうだろう。間違いは簡単に生じるが,防ぐのもまた簡単だ。この方法を用いれば調査の精度を上げられるし,自分で時間の流れを評価する際にも間違いを少なくできる。質問の中に,時間の流れを示すはっきりした目印を入れればいいのだ。つまり,「去年,南海医者にかかりましたか?」ではなく,「元日から何回医者にかかりましたか?」と質問する。この場合は,目印である元日がしっかりとした拠りどころになるので,どの出来事がそれより前で,どの出来事があとだったか考えやすくなる。私たちは頭の中で記憶を組み立て直すときには,最小限の認識努力しかしないが,実際の日付を尋ねられれば,記憶をその他の目印と照らし合わせざるをえなくなるので,正しい答えが出しやすくなる。
クラウディア・ハモンド 度会圭子(訳) (2014). 脳の中の時間旅行:なぜ時間はワープするのか インターシフト pp.155
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