ラジオ番組でインタビューを始める前に,私は音響レベルを確認するため,ゲストに何か質問をする。古典的なのは「朝食には何を食べましたか?」だが,大半の人が「何も」とか「トースト」とか,ひとことで答えてしまう。短すぎて機械のテストには使えない。そこで私はその日の午後,あるいは翌日の予定について尋ねるようになった。先週,出演してもらったある女性は,まっすぐ家に帰ると答えた。それは家を出る前に,2人の樹木医が庭の木の整理をするためにチェーンソーを持って彼女の家に来たのだが,どうも酔っ払っているように見えたからだという。速く戻って庭がどうなっているか,そして樹木医がどうなっているのか確かめたかったのだ。これほど興味をそそる答えはめったにない。これは簡単な質問だが,あくまで大人だったら,の話だ。3歳の子供にとっては,実ははるかに難しい質問なのだ。ある実験では,翌日何をするかという質問にまともに答えられたのは,3歳児では3分の1しかいなかった。これがあと1年か2年たつと将来を思い描く能力が発達して,3分の2が答えられるようになる。
クラウディア・ハモンド 度会圭子(訳) (2014). 脳の中の時間旅行:なぜ時間はワープするのか インターシフト pp.200-201
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