実際,多数の類縁団体を対象にした非公式の調査によれば,「3分の1の法則」とも呼ぶべき傾向が見られるという。たとえば,エルマー・ガントリーの現代版のブライアン・リチャーズのような男が,無警戒の宗教団体に詐欺を働くと,彼のことを説得力があるとかカリスマ性があると考えるのは全体の3分の1で,3分の1は「あの男を見ていると虫ずが走る」と疑いの目を向け,残りの3分の1は判断を保留する。
ここで興味深いのは,詐欺行為やごまかしや盗みなどが明るみに出た後でも,多くの加害者に対する意見は,第一印象とほとんど変わらないことだ。その男に最初から感銘を受けていた人々は,自分の判断は正しい,彼が詐欺を働いたのは何かの間違いで,彼は誤解されていると信じて疑わない。最初から疑心暗鬼だった人々は,「何か怪しいと思っていたんだ」と,自分の判断が正しかったことに納得し,判断を保留していた人は「何があったの」と,相変わらずどっちつかずの態度をとる。
ポール・バビアク&ロバート・D・ヘア 真喜志順子(訳) (2007). 社内の「知的確信犯」を探し出せ ファーストプレス pp.121-122
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