サイコパスの特徴を企業のリーダーとしての資質と取り違えてしまうのは,上層部が採用や昇進や後継者育成計画の人選で意思決定をする際に,有能なサイコパスが,上層部が求めるリーダーシップやマネジメント能力を持っているように振る舞えるからだ。現に,サイコパスの魅力的な物腰や大仰な話しぶりは,“カリスマ的なリーダー”や“自信家”の特徴を思われがちだ。
採用試験でも,応募者に,優れたリーダーシップに不可欠なカリスマ性があると認められた場合,その特性だけが強調されて神々しく見えてしまう。たった1つの特性からその人物の全人格を判断してしまうのだ。これは,面接官や意思決定者が陥りやすい傾向だ。ある特徴が神々しく見えることで,その人物についての足りない情報までがカバーされ,重要な判断に影を落とすのだ。
ポール・バビアク&ロバート・D・ヘア 真喜志順子(訳) (2007). 社内の「知的確信犯」を探し出せ ファーストプレス pp.245
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