すこしでもよいところを見つけてほめる----この「ほめる教育」の接し方は,子どもや若者をつねに「よいー悪い」の評価の対象として見るということを意味します。子ども・若者の行動を「よいー悪い」という点において価値づける評価のものさし(尺度)を,頭のなかにつねに用意しておく。子どもや若者がなにかをしたら,即座にそのものさしをあてはめる。そして,すこしでもプラスの値がふくまれていたら,よくできたとか,がんばったねどとほめる----。
そういうことをやっているのです。これは,ひとりの人に接する接し方としては,かなりかたよった接し方だということを認識しておくべきです。このような評価のものさしをあてはめることなどしないで,その人のありのままの姿をそのまま受けとめて接するということだって十分に可能なわけですが,それとは遠くかけ離れた接し方なのです。
伊藤 進 (2005). ほめるな 講談社 p.46-47
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