おそらく,南カリフォルニア生まれの心理学者でアメリカ心理学会会長だったジョン・B・ワトソンほど,そのことを強調した者はいないだろう。現在では,ワトソンは愛情という害悪の撲滅運動を先導した科学者として知られている。「子どもを可愛がりたいという誘惑にかられたら,母の愛は危険な道具であることを思い出しなさい」とワトソンは警告した。子どもを抱きしめたり愛撫したりしすぎると,その幼年期は不幸になり,悪夢の青春時代を迎えることになるだろう——あまりにひどく歪んで育つと,結婚生活に適応できない大人になるかもしれない。驚くほど短期間でそうなりかねないのだ,とワトソンは警告した。「間違った扱い方をしたせいで,いったん子どもの性格が損なわれてしまったら,そのダメージから回復できる保証がどこにあるというのか?そのようなことがたった数日で起こってしまうのだ」
デボラ・ブラム 藤澤隆史・藤澤玲子(訳) (2014). 愛を科学で測った男 白楊社 pp.58
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