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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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勤勉性と長寿

勤勉性の高い人は,なぜ健康で長生きできるのか。それには3つの理由がある。
 第1の理由は,おそらく誰でも思いつくだろう。勤勉性の高い人は,よく考えて慎重に行動し,自分の身を危険にさらすような向こう見ずなことはしない。喫煙,深酒,ドラッグ,危険な運転などを避ける傾向がある。車を運転するときはきちんとシートベルトをして,医師の言いつけもよく守る。リスクを極端に嫌うというわけではなく,むしろ現実的にリスクの計算ができるタイプと言えるだろう。どこまでが大丈夫で,どこからが危険かをきちんと考えている。
 第2の理由は,いちばん意外な内容である。どうもある種の人びとは,生まれつき健康で,しかも勤勉性の高い性格の持ち主でもあるらしい。もとから勤勉性と健康の両方を兼ね備えているのである。勤勉性の高い人たちはまた,生活習慣に関わる病気だけでなく,どうやら病気一般にもかかりにくいようだ。この意外な事実を発見したのは私たちだけではない。多くの研究者が,同じ結論に達している。勤勉性の高い人たちは,どういうわけかあらゆる死亡リスクが低くなっているのである。
 生理学的な根拠についてはまだはっきりしないが,どうやら勤勉性の高い人とそうでない人では,セロトニンなどの脳内物質の分泌が異なるようだ。セロトニンは脳内にある神経伝達物質で,分泌量が減ると,うつ病になったり衝動的な行動に走ったりすると考えられている。セロトニンはまた,食べる量や睡眠時間を司るという,体全体の健康に関わる大切な役割も担っている。
 そして,最後の理由が最も興味深い。勤勉性の高い人たちは,自然と健康で長生きするような人生を歩んでいるのである。脳内物質が健康的なバランスを保ち,健康的な生活習慣を身につけているというだけの話ではなく,人生全般において健康的な選択をしているということだ。彼らは概して幸せな結婚生活を送り,いい友人に恵まれ,健全な職場で満足できる仕事をしている。
 そう,勤勉性の高い人たちは,健康長寿につながる人生を自分の力で創造しているのである。

ハワード・S・フリードマン,レスリー・R・マーティン 桜田直美(訳) (2012). 長寿と性格:なぜ,あの人は長生きなのか 清流出版 pp.37-38
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