20代はどっちつかずの時期,というのがいまはほぼ定説になっています。2001年の「エコノミスト」誌は「ブリジッド・ジョーンズ・エコノミー」と題する記事を載せ,2005年1月の「タイム」誌の表紙には「トウィックスター(青少年と成人期のあいだで違和感を持つ若者。経済的にも独立していない18歳から20代が典型)に会う」という見出しが踊りました。両方とも,20代はお金も時間も自由に使える時期だと読者に伝えました。2007年ごろまでには,20代は長期にわたる冒険と放浪の時期であるというメッセージがいきわたりました。そしてメディアや研究者は,キダルト(子供大人)とかプレアダルトとか万年思春期(adultescent)といった呼び名で20代を呼ぶようになりました。
20代の10年間は思春期の延長だという人や,新生の成人期と呼ぶ人も出現しました。大人になるための時間割の変化によって,本来なら成熟するために努力しなければならない20代は,「まだ完全に大人ではない」者として成長の機会をうばわれ,退化させられてしまいました。ケイトのような20代は,そういったまやかしに踊らされたとも言えるでしょう。甘いメッセージの多くが,大人の人生をつくるいちばん大事な10年の価値を低下させてしまったのです。
メグ・ジェイ 小西敦子(訳) (2014). 人生は20代で決まる:TEDの名スピーカーが贈る「仕事・結婚・将来設計」講義 早川書房 pp.24-25
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