仕事への足がかりを得るのに長くかかればかかるほど,わたしたちは,あるジャーナリストが「本来とは異なる,そして傷ついた」と書いたような人間になります。非正規雇用の20代についての研究では,9カ月間もフリーターでいる者は,仲間よりも憂うつぎみで,やる気も失せていると判明しました。失業中の仲間とくらべてもです。だからといって,完全失業のほうが非正規雇用よりもましだと結論づけるのは早すぎます。20代の失業者は,中年になって,たとえ定職を得たあとでも深刻な飲酒癖やうつに悩まされるそうですから。
実際,わたしもこの目で見てきました。前向きで知識もある20代の人々が現実社会で現実の仕事に就くのを避けて,楽な非正規雇用を続けていると,そのうち,本当の幸せをもたらすかもしれない何かを探す意欲も失せ,面倒になっていくのです。夢はますます遠のいていくように思えるのです。
メグ・ジェイ 小西敦子(訳) (2014). 人生は20代で決まる:TEDの名スピーカーが贈る「仕事・結婚・将来設計」講義 早川書房 pp.50
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