目立ちたい。人から注目されたい。そんな彼らの奥深くにあるのは,自己顕示欲と承認欲求,つまり自分が認められたいという欲求であり,まさしく自己愛である。自己愛について,毒舌家のラ・ロシュフコーの言葉をここで再び引用しよう。
「ちょうど,われわれの目に似ている。何でも見えるが,自分自身だけは見えないのだ」。自分自身が見えないのは,自己愛が「あらゆるおべっか使いのうち,最もしたたか者だ」からである。
自己愛を満たすことしか考えていない人間の悪ふざけは,周りの人間からすれば,ちっとも面白くないし,後で問題になったらどうするの,と心配もしてしまうところだろう。しかし他人の意見に耳を貸さない人間だということもわかっているので,誰も止めようとしない。暴走しやすい環境を自ら作り出しているわけだ。
誰かを攻撃せずにはいられない人も同様に,自分自身が見えていない。自分のやっていることは常に正しいと思い込んでいるので,誰の助言も聞き入れない。自分が痛い目に遭わない限り,攻撃を繰り返すのである。
片田珠美 (2013). 他人を攻撃せずにはいられない人 PHP研究所 pp.116-117
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