アサーティブ・パーソナリティと異なり,攻撃性パーソナリティは人の権利や要求など眼中にない様子で,対人関係においては自分ひとりの目的を追い求めていく。自分の勝利に揺るぎない決意を抱き,挑戦は真っ向から受けて立ち,気は短くその視野はいたって狭い。恐怖を感知する能力や抑制のきいたコントロールも病的なまでに欠いている。支配的な地位にとことん執着し,弱者と認めた相手はこのパーソナリティ特有の軽視と蔑視で応じる。攻撃性パーソナリティとは骨の髄から“闘士”なのだ。
また,攻撃性パーソナリティは多くの点でナルシストの特徴と一致している。そのため攻撃性パーソナリティは自己愛性パーソナリティの変形だと考える専門家もいて,実際,このタイプが自分に対して抱く過剰な自信,自己陶酔ぶりはよく知られている。関心の対象は自身の欲望やみずからに課した目的や計画と,すべては自分にかかわるものばかりだ。そして,目的の前に立ちはだかるものは,人であろうがなんであろうがその存在は断じて許そうとしない。
ジョージ・サイモン (2014). 他人を支配したがる人たち 草思社 pp.52
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