70歳くらいになると,昔できたことができなくなって,「あれもできなくなった」「これもできなくなった」と感じ,できない自分に直面するようになります。それをきっかけに,衰えた自分に対してネガティブな感情を持つことも多く,落ち込んでうつ的になる方もいます。
しかし,それを超えて90歳,100歳になった方は,何か1つでもできることを見つけると,「まだ,これができる」と感じるようです。新しいことができるようになると「こんなことができるようになった」と喜びます。
「これしかできなくなった」という言葉はあまり出てきません。本当に小さなことであっても,「自分はまだこれができます。それが今楽しい」というふうにおっしゃいます。長生きされた方はそんな境地になるようです。
どうしてこんなになんでもポジティブに受け止められるのかとほんとうに不思議なほどです。穏やかでポジティブなので,お話ししていてこちらが気持ちがよくなります。
増井幸恵 (2014). 話が長くなるお年寄りには理由がある:「老年的超越」の心理学 PHP研究所 pp.33-34
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