次女が高校入試の面接のときに,「将来の夢は何ですか」と聞かれて,「人類の進歩に貢献する」と答えたんです。普通は,「資格を取って保母さんになる」というような答えが返ってくるのかもしれませんが,それで次女の面接の担当だった先生はどうしたか。目をそらして「じゃあ,○○さんは?」と隣の子に矛先を移した。うちの娘は完全にスルーされた。
そのとき次女は「何か燃えた」と言います。何に燃えたのかというと,生徒がそういうことを言ったら普通,反応が来てしかるべきでしょう,と。「あなたの言う,人類の進歩に貢献するとはどういうことなんですか」などと聞いてくれれば,その問いに精一杯答える準備があったのにと悔しがる。
長女のときはこんなふうじゃなかった。長女が行っていたのは古い歴史がある都立高校で,その高校からは各方面で活躍した人がいっぱい出ている。面接のときに,長女は「わたしも,この偉大な伝統の一部になる」って高らかに宣言したら,卒業式のときに国語の先生が「Mさんの面接の受け答えを今でも覚えている。素晴らしかった」と言ってくれました。
鈴木光司・竹内 薫 (2009). 知的思考力の本質 ソフトバンク クリエイティブ p.160-161
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