西洋の人がよく使う言葉は「ジグソーパズル」です。統合の感覚というのはジグソーパズルを完成させるようなものです。1つひとつのピースを見ると,何の絵なのかわからないけれども,全体を並べてみると,最終的にある絵が浮かび上がってきて,「ああ,これが私の人生だったんだ」という感覚に至るそうです。それが統合性という概念の感覚になります。
日本人にはわかりにくいかもしれませんが,西洋の人たちは,矛盾や混乱のない一貫したものを求めていますので,人生に対する考え方にもそれが反映されています。
最終的に「私の人生にはいろいろな出来事が起こった。うれしかったこともあるし,つらかったこと,苦しかったこともある。それらはすべて今につながる意味を持っていた。振り返ってみると,私の人生はとても意味のあるものだった」という感覚を持てるようになることが,人生の大きな目標と考えられています。人生の最終目標である「統合された自我」を目指して,乳児期からの8段階の発達段階を経てきたということです。
増井幸恵 (2014). 話が長くなるお年寄りには理由がある:「老年的超越」の心理学 PHP研究所 pp.83-84
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