自分の人生が限りのあるものだとの認識がなされてくると,ポジティブな感情を生むために,いっそう選択的に行動するとされています。社会情動的選択理論では,残りの寿命を意識するとなぜポジティブになるのかという詳しい説明はなされていませんが,そのような前提で論をすすめています。
この理論のなかに,ポジティピティ・エフェクトというものがあり,本当にそれがあるのかないのか議論が続いています。ポジティピティ・エフェクトとは,高齢者は行動だけではなく,知的な判断過程でも,ネガティブなものを排除し,ポジティブなものを選択する傾向がある,というものです。
単純な実験なのですが,いろいろな画像を見せて調べてみると,高齢者はポジティブな画像のほうが,ネガティブな画像より認知しやすいということを示す研究もあります。
増井幸恵 (2014). 話が長くなるお年寄りには理由がある:「老年的超越」の心理学 PHP研究所 pp.90
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