私たちはほんの数秒で,顔をはじめとするさまざまな手がかりから相手の性格を判断している。そしてその判断は,多くの人のあいだで一致する。あなたとわたしがある人の顔を見たら,その人が誠実か,信頼できるかなどについて,ほぼ同じ予測をすることになる。だが,ほんとうに重要なのは,相手の顔や態度を手がかりにして,性格や今後のふるまいを正確に予測できるかどうかだ。最近の科学的な研究では,いくつかの事柄が“正確に予測できる”という結果が出ている。人の顔や行動は,さまざまな意味で人となりを明かしているのだ。性格や知性はもちろんのこと,どのぐらい思いやりがあるか,あるいは,どのぐらい攻撃的かなどの手がかりになるのだ。
それでも,人は相手を完全に見誤って,それが重大な問題を引き起こすこともある。たとえば,裁判では大人びた顔の被告に比べると,童顔な顔の被告のほうが刑を免れる傾向にある。陪審員はある種の特徴が顔に表れている被告に,死刑判決を下すことが多い——それが事実であるのは,証拠が裏づけている。
マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.17
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