目をそらす
体を前後に揺する
唇を噛む せわしなく足踏みをする
鉛筆をもてあそぶ
耳にさわる
左を見る
鼻にさわる
わざと友好的な態度を取る
以上のような手がかりのせいで,なぜ嘘を見抜くのが苦手なのかがはっきりわかる。私たちは嘘を見抜くための手がかりを知っていると思いこんでいるが,その手がかりの多くが実はあてにならないのだ。右に挙げた手がかりが必ずしも嘘の証拠というわけではない。
とはいえ,そういった手がかりのいくつかが嘘を表していると,あなたが思い込んでいたとしても不思議ではない。ある研究で,サモアから中国まで58カ国の人々に,どんなしぐさによってうそがわかるかと質問した。回答として無数のしぐさが挙げられたが,目をそらす——メラニーのように目を合わせない——というのが一番多く,それこそがもっとも確実な嘘の証拠と考えられていた。だが,実際には,人がどこを見ているかということと,嘘をついているかどうかに明確な関連はない。嘘の証拠として多くの人が信じこんでいる手がかりの大半は,迷信のようなもので,なんの証拠もないのだ。
マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.109-110
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