これだけ投票率が低いのは,立候補者の努力不足のせいではない。大統領選挙であれ,国会議員選挙であれ,知事選挙であれ,選挙活動で飛びまわっている大半の立候補者は,何年も,いや,少なくとも何カ月ものあいだ,私生活を捨てて,かなりの時間と労力を遊説に費やしている。そしてまた,当然のことながら,そういった選挙活動の原動力になるものが不足していたら,何もできない。その原動力とは金だ。「政治で重要なものがふたつある」と言ったのは,1896年の大統領選に出馬したウイリアム・マッキンリーの選挙参謀だ。「ひとつ目は金で,ふたつ目は思い出せない」と言ったのだった。近年の選挙では多額の金が使われ,資金集めのために膨大な時間が費やされ,年を追うごとにその傾向は強くなるいっぽうだ。
マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.161-162
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