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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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自閉症の症状の特徴のひとつ

 いまでも,人の言葉を聞いて,すべての単語とその細部まで完全に理解できても,それにふさわしい対応ができない。たとえばある人がぼくに「コンピュータで原稿を書いていたら,押すつもりのないキイをたまたま押してしまい,全部消してしまった」と言ったとする。ぼくの頭のなかでは,その人が押すつもりのないキイを押してしまったこと,そのキイを押したとき原稿を書いていたことはわかる。しかし,そのふたつの発言をつなげて全体像(つまり原稿が消えてしまったこと)を思い描けない。子どもの本などに,点と点を順番につなげていくとある形が現れてくるものがあるが,それと同じで,点のひとつひとつは見えるが,それをつなげて形にできない。だから,「行間を読む」ことができないのだと思う。
 また,質問の形式をとっていない曖昧な発言にどう応じればいいかもよくわからない。相手の発言を情報として受け取ってしまう傾向が強い。つまり,ほとんどの人は言語を人づきあいの手段として使っているが,ぼくにはそれができない。ある人が「今日はあまりいい日じゃなかったよ」と言ったとする。その人は,相手から「それはたいへんだったね,なにかよくないことでもあったのかい?」といった言葉が返ってくるのを期待していることが,最近になってようやくわかってきた。

ダニエル・タメット 古屋美登里(訳) (2007). ぼくには数字が風景に見える 講談社 p.94-95
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