日本の大学教官が最も緊張する雑務は,入学試験というスーパー雑務である。2日にわたるセンター試験と,それに続く学科入試で,日本の大学はアメリカの大学に毎年1週間分の後れを取っているはずだ。
アメリカの大学では,博士号をもつスタッフを擁するアドミッション・オフィスが,書類選考で学生を選抜し,ヒラ教授ごときが首を突っ込む機会はないし,その必要もない。日本では,いい学生を集めるうえで,入試は必須な業務だということになっている。ところがアメリカの有力大学は,全国共通資格試験(SAT)と書類選考,そして最終面接だけで,十分いい学生を集めている。
一定レベル以上の学力をもつ学生を集めさえすれば,入学後の教育によって,大学の質を維持することは十分可能だ,というヒラノ助教授の主張の正しさは,アメリカの有力大学によって証明済みである。
今野 浩 (2012). 工学部ヒラノ教授と4人の秘書たち 技術評論社 pp.51
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