アメリカやカナダなどの尊厳の文化に属する人々は,どの人間にも,他者によって奪うことのできない尊厳があると信じています。
尊厳の文化では,平等な立場での他者との関わり合いが尊重され,個人を自発性と自律性を持つ存在だとみなします。
対照的に,名誉の文化では他者からの評価に敏感です。特に,他者の行動によって名誉が傷つけられることに対しては過敏に反応します。また,自らの名誉を保つことと,それが貶められた場合に,回復させる責任があるとも信じています。
面子の文化は,日本や韓国に見られるもので,他者からの評価が主な関心事になります。この文化では,日々の暮らしのなかで,自分が他者の目にどう映るかが重要であり,その評価を自らの行動の指針とします。
面子の文化では,階層的な組織が形成されやすく,その「序列」が人間関係に影響を与えます。これら3つの文化を1つの連続体で表すとすれば,その両端は,個人への重視(尊厳の文化)と社会的状況における個人のポジションへの重視(面子の文化)になります。
ロバート・ビスワス=ディーナー 児島 修(訳) 2014). 「勇気」の科学:一歩踏み出すための集中講義 大和書房 pp.78-79
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