心理学者のジェーン・リーセンらは,一連の研究によって,神意に逆らうような状況に置かれた被験者は,否定的な結果を予測する傾向が高いことを明らかにしています。
たとえば,ある若者がスタンフォード大学に願書を提出したとします。すると,孫を応援する祖母から,スタンフォード大学のロゴが描かれたTシャツが送られてきます。
当然ながら,このTシャツと,彼がスタンフォード大学に合格するかどうかとはまったく関係ありません。彼はそのTシャツを大切に身につけることもできれば,汚れた衣服がいっぱいのクローゼットにしわくちゃにして放り込むこともできます。前に述べたとおり,若者が大学に合格するかどうかは,彼がTシャツをどう扱うかとは無関係です。
それでも私たちは,Tシャツを大切にしなかった場合,彼が大学に受かる確率が低くなるのではないかという,魔術的な考えを頭に思い浮かべずにはいられません。実際,リーセンらの実験の被験者も,このような状況で警戒心を高め,良くない結果を予想しました。
ロバート・ビスワス=ディーナー 児島 修(訳) 2014). 「勇気」の科学:一歩踏み出すための集中講義 大和書房 pp.130
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