妬ましい気持ちになったとき,私たちはどうしたらよいのでしょう。
まずは少し深呼吸をして,自分が何を妬んでいるのか,誰を恨んでいるのかを考えてみることです。たとえば,仕事の成果に対する評価が不本意なのか,同期の出世が妬ましいのか,意思決定の曖昧さに苛立っているのかなど,自分が置かれた状況を見つめ直します。
続いて,自分の妬みを抽出していきます。妬ましいが故に相手を全否定し,白か黒かだけで見ると,救いや余裕がなくなります。ですから,同期のあいつはいい奴だとわかっている……別にあいつを全否定するつもりはない……ただ,能力も仕事の業績も自分より劣っていると思っていただけに,あいつが先に課長になったという現実だけが納得できない……というように考えて,徐々に妬みの原因を炙り出していくのです。
そして,自覚できるようになった妬みの感情を脇に置いて,目の前にあること,やるべき仕事に没頭するのです。こうして妬みから目を背けることなく距離を置ければ,名状しがたい感情に振り回されずに済みます。
中野信子・沢田匡人 (2015). 正しい恨みの晴らし方:科学で読み解くネガティブ感情 ポプラ社 pp.69-70
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