さらに,パーソナリティ・テストでは,自分自身についての自己概念をどのように自己提示するのか,という点についても考えなければなりません。単純なのは,繰り返しになりますが,人事採用場面において,自分をよく見せるための自己提示を行なう場合があるということを指摘できます。逆に,まれではありますが,特定の場面においては,自己概念を自虐的に自己提示する場合もありえます。例えば,周りからの期待が高すぎて,その高すぎる期待に応えられないと判断した場合,「いえいえ,それほどでもありません」と自己概念を低めに提示することは,日本人にはむしろ習慣にさえなっていると思います。したがって,パーソナリティ・テストの結果を判断する際には,そのテストがどのような状況下において用いられたのか,ということも考慮に入れなければなりません。
木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.71
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