現在のところ,遺伝子情報で人の特徴のすべてがわかるわけでもありませんし,同じ遺伝子情報であっても,一卵性双生児の2人がまったく同じ個人ではなく,それぞれの特性も異なっていることから,遺伝子情報だけで,どんな人になるのかは説明できません。また,人間はなんといっても,いつでも成長することが可能な存在なので,これからどんな人になっていくのか正確には予測できないでしょう。しかし,例えば,拳銃を携帯することが許されている警官の採用に,遺伝子情報を活用することは是か非かと問われれば,いろいろな考えがあると思います。こうした倫理的な問題については,まだまだ活発な議論がなされていませんが,遺伝子情報で個人の行動パターンの関係がより明確になっていけば,重要な問題になっていくと思われます。
木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.78-79
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