さて,ここで,反社会性パーソナリティあるいはサイコパスの傾向について,私たち全員にとって重要な点について書いておかなければならないと思います。そもそもなぜ,このような傾向のある人たちが存在するのでしょうか?多くの人は,こんな種類の人たちがいないほうがよりよい社会になると考えると思います。こうした危険な人たちが存在する理由についてはいろんな仮説がありますが,中でも理解しやすいのは,進化心理学的説明です。進化心理学によると,それぞれの種の中でも,より生存競争に適した特性のある個が生存競争に勝ち,その種の中でもそうした生存競争に適した特性がある個が増えていくと考えられます。反社会性パーソナリティ障碍にしてもサイコパスにしても,100人いれば,1人はいると考えられますので,彼らの行動特性は生存競争に適していたと考えられます。
木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.81-82
PR