ポジティブ心理学者が論じているように,フローとは幸福の全体図のうちの,ほんの一部分にすぎません。心理学者が研究した最初の幸福の種類ですが,その後も科学は大いに進化しつづけています。エモリー大学の心理学教授,コリー・リー・M・キーズは,「フローは幸せに関する科学の一部であり,すべてではありません。……(中略)……人間の機能の性質や条件というより,むしろ一時的な状態を表しています。フロー状態を持続させる研究は行われていますが,私たちがずっとその状態に居続けられるとは考えていません」と説明しています。
フローは刺激的な瞬間です。活力を与えてくれます。大きなフローを経験すると,気分のよい状態が数時間,あるいは数日続きます。ですが,フローはあまりに強烈な没入状態のため,結局は私たちの肉体的,精神的なエネルギーを使い果たしてしまうのです。
ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.67-68
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