過去200年に起きた大国と小国の紛争の勝敗表をつくってみよう。人口および兵力に,少なくとも10倍の開きがあることが条件だ。ほぼすべての人が,大国の勝率は100パーセントに近いと予測するはずだ。10倍の開きはそう簡単に埋まらない。だが,正解を知ると,誰もが腰を抜かすにちがいない。政治学者アイヴァン・アレグィン=トフトがはじきだした結果は,71.5パーセント。3分の1弱の戦いで,小国が勝利している。
アレグィン=トフトはさらに,弱いほうがダビデになったとき,つまり大国と同じ土俵に乗らず,常識はずれのゲリラ戦法を採用した場合も計算した。すると小国の勝率は,28.5パーセントから63.6パーセントに跳ねあがった。たとえばアメリカの人口はカナダの10倍だ。もし両国が戦争になり,カナダが型破りな作戦を採用したら,カナダ勝利に賭けたほうがいいということになる。
マルコム・グラッドウェル 藤井留美(訳) (2014). 逆転!強敵や逆境に勝てる秘密 講談社 pp.26
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