食品安全委員会はこんにゃくゼリーによる窒息事故を受けて,各食品の窒息頻度を評価した。これは,食品別の年間窒息事故の頻度を,その食品が年間で何口食べられているか(食品の年間消費量÷一口量)で割ったものを一口あたりの窒息頻度として,比較可能なリスクとして表現したものである。
その結果,一口当たりの窒息頻度が最も高いのは餅であり,2番目が飴だった。こんにゃくゼリーは3番目で,パンの窒息頻度と同程度であった。餅による窒息頻度が多いのは,単に食べる機会が多いからではなく,一口当りの事故頻度で見てもトップクラスのリスクがあるためと判明したのだ。米飯も救急搬送例は多いものの,食べられている量が圧倒的に多いため,一口当たりのリスクでは小さい数字となる。
こんにゃくゼリーによる窒息が受け入れられないリスクであると考えるならば,これが規制されるように線引きしなければいけない。ところが,そうすると真っ先に規制されるべきは餅であり,飴である。さらにはパンまでが規制されるかもしれない。
村上道夫・永井孝志・小野恭子・岸本充生 (2014). 基準値のからくり:安全はこうして数字になった 講談社 pp.53-54
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