まあ,確かに受験生や保護者サイドとしては,第二志望の大学に入学金を払うか否かは大きな問題だろう。払った後に,第一志望が受かった場合,通常は「入学金はいかなる理由があっても返還されない」ことになっているからだ。
ただし,これは大学サイドとしては,ある意味やむを得ない措置でもある。なぜなら入学金を納めることにより,まずは次年度の入学者数がだいたいどのくらいになるのか,はじめてキチンと見当がつくからだ。また,大規模学部では入学者数も1学年1学部で600人以上,ヘタすると1000人を超すし,国公立大の前期日程合格発表である3月上旬前からも,入学準備を粛々と進めておかねばならないということになる。
少なくとも20万円を超える入学金を振り込んでもらうことで,入学予定者数とその氏名などの情報を確実に確保しておかないと,4月の入学関連行事に師匠を来しかねない。これが私学の一般的な実情であろう(また私学では入学金に加えて,3月の指定された日[遅くとも末日]までに所定の授業料を振り込むことになっており,これをもって4月の入学者を暫定的に確定するところが多い。無論,入学金は返還されないが,授業料はもしも別の大学に行く場合は返還されるのがフツーである)。
まあ,(筆者も長男の入試で経験したが)第二志望校への入学金振り込み自体は,保険料と言うか,あるいはその大学への寄付金のようなモノだと考えておくと,保護者の立場としては精神衛生上よいだろう。
櫻田大造 (2013). 大学入試 担当教員のぶっちゃけ話 中央公論新社 pp.142-143
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