とは言うものの,学力把握のひとつの有力な手段として,マークシート方式テストを使用せざるを得ないのも事実だ。まず,偶然だけで高得点を取得するのは統計学的にも,かなり難しいだろう。また,何十万人(13年のセンター試験の受験者数は54万3271人である)もの受験者の答案を,場合によっては数日間で採点することは,教員の能力や人数からしても,大学によっては不可能だったりする。
7章で見るが,世界トップの大学大国アメリカでは,大学(学部)入試業務は原則として大学職員が行い,その分,大学教員は(手当も減るだろうが)教育,研究,その他の業務に打ち込めるシステムとなっている。さらに,基礎学力の担保もアメリカではマークシート方式の統一試験のみで判定されている。
採点業務に十分なスタッフや資金を傾注できるようなシステムを大学が持っていない限りでは,現場の教員が努力してできることはどうしても限定されてしまい,いわば「マークシート方式入試との共存」を大多数の大学教員現場は余儀なくされているのが現状であろう。
櫻田大造 (2013). 大学入試 担当教員のぶっちゃけ話 中央公論新社 pp.177-178
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