アメリカではむしろ,公立短大・大学を突破して,より上位の大学・大学院へと,上をめざす「学歴ロンダ」が当たり前となっている。そもそも日本語での「学歴ロンダ」のような蔑称的なニュアンスを英語で表現すること自体が,きわめて難しい。むしろ最初に入った大学(やコミュニティ・カレッジなどの短大)はこのレベルなのに,最後はハーバード大ロースクール出身だと,大学時代によほど勉強したんだろう,苦労しているし,今後大いに期待できるということで,社会に出てからの評価が高くなるのがアメリカ社会なのである。
有名な例としては,ナンと言っても,バラク・オバマ大統領があげられよう。オバマ大統領の最終学歴(学位)は,ハーバード大のロースクール(法科大学院)出身の法務博士(専門職[Juris Doctor = JD])であり,著名な『ハーバード・ロー・レビュー』誌の編集長を務めたことでも知られている。このオバマ大統領の卒業大(学部)は,アイビー・リーグの名門コロンビア大であるが,入学した大学はあまり知られていない。
実はオバマ氏も,ハワイの名門高校からカリフォルニア州にある学生数2000人規模のオクシデンタル・カレッジという,教養教育系小規模私学に入学して,2年後に有名なコロンビア大に編入しているので,完全な「学歴ロンダ」組なのである。コロンビアやハーバードと比べて,はるかに知名度で劣るが,オクシデンタル・カレッジも『USニューズ&ワールド・リポート』の大学ランキング(2013年版)では,大学院を持たない小規模な私立の学士号授与大学(リベラルアーツ・カレッジ)の中では,全米第39位にランクインされるレベルで,悪くはない。
櫻田大造 (2013). 大学入試 担当教員のぶっちゃけ話 中央公論新社 pp.197-198
PR