昔から,社会に受け入れられない信念,つまり知的正統派に認められない信念は,類が友を呼ぶように寄り添ってきた。この傾向は,真偽を検証する科学的な方法が確立される前から見られる。ニューエイジ運動の起源に関する論文の中で,アメリカの社会学者,ロバート・エルウッドは,非正統的な信念の「地下水脈」は古代ギリシャにさかのぼり,ルネサンスの神秘主義,フリーメーソン,スピリチュアリズム,神知学といった形をとってきたと記している。こうした運動の多くで,社会から排斥された教義に対する信仰は,本来とは別の形になることが多かった。一例をあげるなら,中世後期のキリスト教宗派には,聖書の非正統的解釈を神秘的な癒しの儀式へと発展させたり,禁断の性行為と結びつけたりしたものもあった。
ダミアン・トンプソン 矢沢聖子(訳) (2008). すすんでダマされる人たち:ネットに潜むカウンターナレッジの危険な罠 日経BP社 pp.18
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