タコの知能が高いかどうか確かめることより,“問題はタコの知能を正確に測定して数値化するという点にある”と,アンダーソンはビリーの実験に関する論文で指摘している。
タコに学習能力があることは,研究者にとってもはや驚きではない。多くの脊椎動物やハチと同じく,タコは学習すれば横棒と縦棒の区別がつくし,アルファベットの“V”と“W”のちがいもわかるようになる(わたしの知るかぎり,車の“VW”と“BMW”の区別がつくかどうか試してみた人はいないが)。脊椎動物ほど学習の成果が出ないこともあるが,鳥やネズミより飲み込みが早かったタコもいる。タコの学習能力がどの程度か判断するなら,アンダーソンは鳥類の真ん中あたりだと考えている——ヨウム(コンゴの大型インコ)ほど賢くはないにしても,コガラよりは知能が高いだろう。
キャサリン・ハーモン・カレッジ 高瀬素子(訳) (2014). タコの才能:いちばん賢い無脊椎動物 太田出版 pp.135-136
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