フラット型というと,いかにも平等のようで聞こえがいい。社員の声がじかに届くとか,みんなと一緒に汗を流すとか,経営者もきれいごとをいいます。しかしフラットなのは末端だけで社長は雲の上ですから,正確には中間のないピラミッドです。
中間のないピラミッドは物理的には存在し得ないのに,組織としては実在する。たとえるなら経営者が神で,末端が人間でしょうか。そうした会社では神のひと声で大勢の人間たちが動くわけですが,神が判断を誤ったら経営は大きく傾きます。ましてや神が行方をくらまそうものなら,一巻の終わりです。
ピラミッドはたちまち崩壊し,社員は路頭に迷います。ピラミッドを建てなおそうにも,中間がないだけに作業は極めて困難です。神を失った社員たちは,旧約聖書の出エジプト記さながら,格差社会の荒野をさまようしかないのです。
福澤徹三 (2013). もうブラック企業しか入れない:会社に殺されないための発想 幻冬舎 pp.16-17
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