ここでいったん整理しておくと,年功序列と終身雇用制度の崩壊,市場のグローバル化にともなう成果主義の台頭,商品やサービスのコモディティ化,会社を私物化する経営者とそれにともなう富の寡占化,長引く就職市場の低迷がブラック企業を生み出しているといえます。
さまざまな要素がからみあっているだけに,会社の責任だけを追求しても問題は解決しません。厳密な意味でのブラック企業は,労働法に抵触する行為が常態化している会社ですが,そこまでいかなくても社員は十分に苦しんでいます。
低賃金の長時間労働で,昇進昇給もないのに結果だけ求められる。
何年働いても転職できるようなスキルは身につかず,なんの成長も実感できない。
すなわちワーキングプアの状態で,そうした日々が果てしなく続きます。ストレスと疲労は癒やされぬまま蓄積し,将来への不安が重くのしかかってきます。
そのせいで体調を崩して深刻な病気にかかってしまうことも珍しくありませんが,ブラック企業で休職を申しでるのは,辞めるのとおなじです。なんのかんのと理由をつけて自己都合で退職させられます。といって無理を続ければ,過労死が待っています。
福澤徹三 (2013). もうブラック企業しか入れない:会社に殺されないための発想 幻冬舎 pp.34-35
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