もう1つ重要なことは,研究という営みは運に支配される部分が多いということである。運が悪いと(30代の)ヒラノ青年のように,何年も空振り続きのことがある。成果が出ない時も,それに耐えて努力する強靭な意志がない人は,研究者にはならないほうがハッピーな人生を送ることができると思うからである。
ヒラノ教授は博士課程に学生を受け入れる時は,慎重を期した。教授は博士課程の学生と,一生付き合うことになる。定職がない研究者と長く付き合うのは辛い。だからいかに優秀な学生であっても,自分の側から勧誘することは控えたのである。
一方,博士課程に進もうと考える学生は,学部生のうちに,指導を受けるべき教員に関して十分な情報を手に入れておくことが大事である。
指導教員に選ぶべきは,
“新しくて面白そうなテーマを研究している教員,学内外で評判がいい(人柄がいい)教員,学生の面倒見がいい教員,学生に過度に干渉しない教員”である。
今野 浩 (2013). ヒラノ教授の論文必勝法:教科書が教えてくれない裏事情 中央公論新社 pp.119
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