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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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自力救済

自力救済による正義は,その人間の武勇と決意の信頼度にかかっており,今日にいたるまでアメリカの南部には信頼できる抑止力——名誉の文化とも呼ばれる——に対する執着が色濃く残っている。名誉の文化の本質は,略奪目的の暴力や道具的攻撃[目的達成の手段としての攻撃]を認めず,侮辱などのひどい扱いに対する報復のみを認めるという点にある。心理学者のリチャード・ニスベットとダヴ・コーエンは,こうした考え方が,いまなお南部の法律や政治,そして人びとの考え方に浸透していることを明らかにした。強盗にともなう殺人の件数は南部と北部で違いはなく,南部のほうが多いのは口論がエスカレートした結果の殺人だけであることを,2人は突きとめたのだ。南部の人びとは抽象的な意味の暴力は是認せず,自分の家庭や家族を守るという目的でのみ認めている。南部諸州の法律も,この倫理性を是認している。自分自身や財産を守るための殺人には寛容で,銃の購入に対する規制は緩やかで,学校での体罰(「パドリング」)を許容する。殺人罪には死刑を指定し,司法制度は死刑執行に積極的である。南部では他の地域と比べて,兵役を務め,陸軍士官学校で学び,外交に関してタカ派的な考え方を取る人が多い。

スティーブン・ピンカー 幾島幸子・塩原通緒(訳) (2015). 暴力の人類史 上巻 青土社 pp.193
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