プラトンは『国家』で,「国守り(守護者)」の階級が社会を運営するシステムを提案した。国守りは10歳で親元から離され,教師が育てて,国家の統治者となる。その国守りを全階級から連れてこなければならないのが,プラトンの要点である。プラトンは「ときには,金の親から銀の息子が,銀の親から金の息子が生まれることがある」,「もし金や銀の親から生まれた息子が,真鍮と鉄の混ぜ物であれば,自然の摂理はランクの移動を命じる……神託によれば,真鍮や鉄の男が国家を守護したとき,国が滅びるからだ」と書いた。プラトンはもう1点,国守りは終身の政府官僚で,国家のためだけに関心を持ち,個人的な富には無頓着だとはっきり打ち出している。プラトンはこの理想のシステムを「貴族政治(アリストクラシー)」と呼び,文字通り,最高の者による統治という意味を与えた。
ニコラス・レマン 久野温穏(訳) (2001). ビッグ・テスト:アメリカの大学入試制度 知的エリート階級はいかにつくられたか 早川書房 pp.56-57
PR