計量心理学の第一原則は,全体に分布が中央で膨らむ,おなじみの釣鐘型曲線になること。マイヤーズ・ブリッグズのテスト派,各軸の分布が両端で膨らむと仮定されていた。大半の人々は内向的か外向的かのいずれかで,その中間ではないことになる。これが1つの問題だった。また大半の人格検査と同様,信頼性が高くなかったのも問題。同じ人が2回テストを受けると,違う結果が出てくるのだ。さらに,一見したところ,結果の妥当性を測るのに使える,1年目の成績というような明白な数字がなかった。しかも,思考/感情の軸(他の軸も可能性がある)は,ETSの人たちには,人格のタイプより男女の違いに対応しているように思えた。あるETSの計量心理学者は「ほとんど占星術のようだ。われわれはばかにした」と語った。
ニコラス・レマン 久野温穏(訳) (2001). ビッグ・テスト:アメリカの大学入試制度 知的エリート階級はいかにつくられたか 早川書房 pp.113
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