この結果,アイビーリーグの他大学では見られなかったような表立った争いが起きた。他大学はメリトクラシー的な入試制度に段階的に移行した。イェールも他大学と変わらないコースを選んだが,勇敢で,栄光に輝く改革志向の個性的な若者を軸にメリトクラシー導入を組織したところが,とにかく非常にイェール的だった。卒業生のあいだでは,クラーク憎しの熱気が急激に盛り上がった。入学はゼロサムゲームで,新しい人が入学すれば,だれかが閉めだされる。卒業生には,それがだれだかわかっていた。卒業生の子息が占める比率は,ハウの最後の学年の20%から,クラークの最初の学年の12%へと低下した。イェール大学への進学者数が第1位だったアンドーバーからの,入学者数はほぼ半減した。
ニコラス・レマン 久野温穏(訳) (2001). ビッグ・テスト:アメリカの大学入試制度 知的エリート階級はいかにつくられたか 早川書房 pp.184
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