お昼時のテレビ番組のプロデューサーは,超能力があると自称する双子に弱いらしく,わたしにもよく,そんな双子を紹介してくれないか,と頼んでくる。しかし,実のところわたしたちが調べた一卵性双生児の66パーセントは,自分には超能力はない,と断言した。当然ながら,このようなメディアから見て「つまらない」双子がテレビに登場して,「双子の大半は超能力者だ」という見方に異を唱えるようなことはないのだ。また,超能力心理学者と広告業者は,人間が(潜在意識や無自覚の刺激に導かれて)無意識の選択をすることを知っている。たとえば,自分とよく似た名前の友人を選びがちで,子どもや犬の名前にも何らかのこだわりがある。また,商品を選ぶ際にも,どこか馴染み深く思える商品を選びがちだ。
ティム・スペクター 野中香方子(訳) (2014). 双子の遺伝子:「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける ダイヤモンド社 pp.21
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