日常的にスポーツをする傾向が遺伝するのなら,スポーツ能力はどうなのだろう?数年前,わたしたちはオランダの研究者と協力して,大規模な双子の記録を調べた。4500組以上の双子のうち,300組以上が優れたスポーツ能力を共有し,20種目のスポーツのいずれかで国際レベルあるいは全国レベルの大会に出場していた。スポーツの競争能力には,遺伝が66パーセント影響していることがわかった。しかし,腕前も同じというわけではなく,たとえばテニスでは,一卵性双生児の腕前が互角である割合は,わずか50パーセントだった。そうした能力の遺伝率は,わたしたちが推定した,肺活量,筋力,筋肉量といった体の構造の遺伝率に近かった。ちなみに,わたしたちは最近,ケンブリッジの研究者とともに,心臓の健康状態も遺伝することを発見した。
ティム・スペクター 野中香方子(訳) (2014). 双子の遺伝子:「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける ダイヤモンド社 pp.88
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