本書は,研究者を目指すうえで有益となる考え方を知る一助になればと願い書いたものだ。だが,どんな著者であれ,一人ひとりの読者を待ち受けている個別の落とし穴は予見できない。それを考えれば,研究者としての一歩を踏み出すためにできる最善の準備とは,自分自身の手で「研究におけるおじ,おば」をさがすことだと言えるだろう。つまり,親戚のおじさん,おばさんのように,自分に対して権力をふるうことはほとんど(あるいはまったく)ないが,相談相手としては十分な経験を有していて,的確な助言をしてくれる人を見つけるのだ。
指導教官以外の人たちと知り合うのに及び腰になってはいけない。これまで面識がなかった研究者たちも,他の人との交流をとても大切にしているはずだ。オフィスや研究所の閉ざされたドアの向こうでは,そうした研究者たちが日々多くの時間を過ごしており,そして誰もが誰かにアドバイスをしたがっているのである。
ピーター・J・ファイベルマン 西尾義人(訳) (2015). 博士号だけでは不十分! 白楊社 pp.35-36
PR