パラグラフには厳密な規則がいくつかあり,その規則は書き手にある一定の制約を押しつけます。パラグラフの規則を守りながら書けばそれがそのまま論証のスタイルになるというわけです。規則は次のようなものです。
(1)ひとつのパラグラフにはひとつの主張または結論しか書いてはいけない。すなわち,ふたつの主張がある場合には2つのパラグラフに分けて書く必要があるのです。
(2)主張はパラグラフの戦闘にトピックセンテンスとして書く必要がある。これにより,各パラグラフの先頭にはそれぞれのパラグラフで述べられる主張が並ぶことになります。
(3)トピックセンテンスとして書かれた主張のあとにその主張をささえる根拠をサポーティングセンテンスとして書く。これは論証に必要な条件を整えるためです。
(4)サポーティングセンテンスに書かれる根拠は文頭に述べたトピックセンテンスの主張と直接に関係すると考えられる根拠のみを述べること。
(5)パラグラフの最後にコンクルーディングセンテンスとして同パラグラフで主張したトピックセンテンスの内容を再度書く。サポーティングセンテンス(根拠)の内容が長くなり,パラグラフの最初で述べた主張が読者の記憶から薄れてしまう場合もあります。コンクルーディングセンテンスでもう一度主張をくりかえすことにより,パラグラフで書き手が言いたかったことが再度確認されるわけです。
福澤一吉 (2002). 議論のレッスン NHK出版 pp.122-123
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