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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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赤ん坊は人間か

患者を一人の人間として扱うことが仕事であるはずの医者でさえ,相手の気持ちを考えないことがある。とくに,患者が自分たち医者とまったく違う立場であるときに,そうなりがちだ。たとえば,1990年代初めまで,赤ん坊の手術では麻酔を使わないのが一般的だった。なぜだろう?当時の医者は,赤ん坊には,人間のもっとも原始的な能力である痛みを感じる能力がないと考えていたからだ。メアリー・エレン・エイブリーは,著書『新生児の痛み(Pain in Neonates)』の冒頭で,こう述べている。「先輩の医者から,生後間もない赤ん坊は痛みを感じないといわれたことが,どれだけあったでしょう。もちろん赤ん坊は,拘束されて手術を受けるときは泣いています。それなのに『それとこれとは別』だというのです」。ずっと前から,医者は赤ん坊を生物学的には人間だと考えていたが,心理学的にも人間だと考えるようになったのは,ほんの20年前なのだ。

ニコラス・エプリー 波多野理彩子(訳) (2015). 人の心は読めるか? 早川書房 pp.76-77
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